こんにちは、株式会社ヒューマン・ブレーン広報担当です。
初めて塾の授業を担当するとき、「教材は解いたけれど、ほかに何を準備すればよいのだろう」「説明が早く終わったらどうしよう」と不安になる方は少なくありません。
授業準備で大切なのは、教材の答えを確認することだけではありません。「授業後に生徒が何をできるようになるか」を決め、生徒の現在の理解度を想定し、説明・問いかけ・演習・理解確認の流れを組み立てることです。そして、授業後の気づきを次回へつなげるところまでが、一つの準備サイクルです。
この記事では、未経験者や若手講師が授業前・授業中・授業後に確認したい項目を、実践しやすいチェックリストにまとめます。集団指導と個別指導の違い、初めての授業で優先したいことも紹介します。保護者の方にも、塾講師が授業の前後を含めてどのような取り組みを行っているのかを知る機会としてお読みいただけます。
塾講師の授業準備は、なぜ必要?
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」では、学習塾教師の仕事として、授業計画を立てること、授業内容や資料を準備すること、生徒の学習状況を評価・記録することなどが挙げられています。授業は、その場で知識を話すだけの仕事ではないことが分かります。
準備には、主に次の3つの役割があります。
準備の主な3つの役割
- 授業の目的を明確にする
扱うページではなく、身につけてほしい力を決める - 生徒のつまずきに備える
誤答や質問を予測し、別の説明や例を用意する - 理解を確かめる
講師が話し終えることではなく、生徒ができるようになったかを確認する
準備があるからこそ、授業中に予定外の反応があっても落ち着いて調整できます。計画どおりに進めるためだけでなく、生徒に合わせて変える余裕をつくるための準備とも言えるでしょう。
なお、準備に必要な時間は、経験、教科、学年、単元、教材、指導形態によって変わります。「何分なら十分か」と一律に決めるのではなく、最初は責任者に標準的な手順を確認し、自分が迷いやすい部分を把握しましょう。慣れてきたら、毎回ゼロから作り直すのではなく、前回の記録や教室で共有されている教材を適切に活用し、準備の質と効率を両立させます。
授業前に確認したい7項目
勤務先のカリキュラム、教材、指導方針、責任者の指示がある場合は、それらを優先してください。そのうえで、授業1コマを次の順番で組み立てると、抜け漏れを減らせます。

1. 今日の到達目標を一文で決める
「教科書の20ページまで進む」ではなく、「一次方程式の手順を説明し、自力で基本問題を解ける」のように、生徒の行動で表せる目標を置きます。目標が明確なら、説明をどこまで行い、どの問題で確認するかを決めやすくなります。
2. 生徒の現在地を確認する
前回の記録、宿題、テスト結果、学校の進度など、勤務先で共有されている情報を確認します。個人情報や成績情報は、必ず勤務先のルールに従って扱いましょう。初めて担当する場合は、学年や使用教材だけで理解度を決めつけず、授業の冒頭で確かめる項目も準備します。
3. 教材を自分で解き、つまずきを予測する
答えだけでなく、途中の考え方まで確認します。「符号を間違えやすい」「問題文の条件を読み落としやすい」など、誤答の原因を予測しておくと、注意点を絞れます。解き方が複数ある場合は、担当する生徒やクラスで扱う方法を責任者へ確認しましょう。
4. 導入・説明・演習・確認の時間を配分する
授業時間を、導入、前回確認、新しい内容の説明、例題、演習、理解確認、宿題案内などに分けます。すべてを細かく分単位で固定する必要はありませんが、「説明が長くなりすぎて演習ができなかった」を防ぐため、区切りの目安を持ちます。
5. 問いかけと確認問題を用意する
「分かりましたか?」だけでは、理解度を判断しにくいことがあります。「次に何をする?」「この式のどこを先に見る?」「似ている問題と違う点は?」のように、考え方を確かめる問いを準備します。最後に一人で解く確認問題も決めておくと、次の課題が見えます。
6. 板書・配布物・機器を確認する
板書する順番、残しておきたい要点、図や表の配置を簡単にイメージします。プリント、筆記具、タイマー、映像教材などを使う場合は、必要部数や動作を事前に確認します。機器が使えない場合の代替案もあると安心です。
7. 早く終わる場合と時間が足りない場合を考える
理解が早い場合の追加問題と、予定より時間がかかった場合に必ず押さえる要点を決めます。準備した内容をすべて消化することより、到達目標に必要な学びを確実にすることが優先です。
一目で確認できる授業準備チェックリスト
| 確認 | 項目 | 自分への問い |
|---|---|---|
| □ | 到達目標 | 授業後、生徒は何ができるようになる? |
| □ | 現在地 | 前回までに何ができ、何につまずいている? |
| □ | 教材研究 | 解き方と誤答の理由を説明できる? |
| □ | 授業の流れ | 説明と演習の時間は確保できている? |
| □ | 問いかけ | 理解を確かめる質問は具体的? |
| □ | 環境 | 板書、配布物、機器、座席に不足はない? |
| □ | 調整案 | 早い場合・遅い場合の対応を決めた? |
準備で迷ったときは、一人で抱え込まない
授業準備では、「この説明で方針に合っているか」「どこまで扱うべきか」のように、自分だけでは判断しにくい場面があります。特に初担当の学年・教科・単元では、早めに責任者や先輩へ確認しましょう。

- 授業の到達目標と扱う範囲
- 生徒・クラスのこれまでの様子
- 教室で推奨している解き方や用語
- 宿題の量や提出・記録の方法
- 欠席、遅刻、学習上の困りごとがある場合の対応
相談するときは、「何も分かりません」ではなく、「目標はここまで決め、授業の流れも考えたが、この説明方法で迷っている」と整理して伝えると、具体的な助言を受けやすくなります。他の講師の授業を見学する際も、話し方だけでなく、目標の示し方、問いかけ、演習への切り替え、理解確認に注目すると、自分の準備へ取り入れやすくなります。
授業中は「計画を守る」より「反応を見る」
準備した台本を一字一句再現する必要はありません。授業中は、生徒の表情、手の動き、ノート、回答、質問などから理解度を確かめます。反応が弱ければ例を変える、演習時間を増やす、前提知識へ戻るなど、目標に向けて流れを調整します。
- 講師ばかりが話し続けていないか
- 一部の生徒の返答だけで全員の理解を判断していないか
- 正解・不正解だけでなく、考え方を確認しているか
- 板書や資料が教室の後方からも見やすいか
- 最後に今日の要点と次にすることを共有したか
全国学習塾協会の集団指導に関する評価資料でも、授業目標、板書、発問、時間配分、理解確認、まとめなどが確認観点として示されています。授業準備は、これらを本番で実行しやすくするための設計図です。
授業後10分の振り返りが、次の準備になる
授業が終わった直後は、うまくいった点と迷った点を覚えています。勤務先で決められた記録方法に従い、次の4点を短く残しましょう。所要時間は目安であり、報告事項がある場合は速やかに責任者へ共有してください。

授業直後に行う4つのこと
- できるようになったこと:確認問題や発言から判断する
- まだ不確かなこと:誤答、迷い、質問を具体的に残す
- 授業の進め方:時間配分や説明で改善したい点を一つ選ぶ
- 次回の一手:復習する内容、確認する問題、必要な共有を決める
「盛り上がった」「説明できた」という講師側の感触だけでなく、生徒が何を理解し、何を自力でできたかを基準に振り返るのがポイントです。改善点を一度に増やしすぎず、次の授業で試すことを一つ決めると、成長を続けやすくなります。
集団指導と個別指導で準備はどう変わる?
基本の考え方は同じですが、重点が少し異なります。
| 指導形態 | 準備で特に意識したいこと |
|---|---|
| 集団指導 | クラス全体の到達目標、説明と演習の切り替え、全員の理解を確かめる問い、板書の見やすさ |
| 個別指導 | 生徒ごとの現在地、学校の進度や目標とのつながり、演習中の観察、複数人を担当する場合の時間配分 |
「集団だから一方的に説明する」「個別だからその場で質問に答えるだけ」ということではありません。どちらも、生徒の反応を見ながら学びを前へ進める仕事です。担当形態に応じた準備方法は、研修や授業見学で具体的に確認しましょう。
初めての授業では、完璧さより3つを優先
- 勤務先の方針と約束を守る:教材、進度、記録、安全面のルールを確認する
- 生徒の名前と現在地を知る:最初から決めつけず、会話と問題で確かめる
- 授業後に相談する:迷った点を残し、先輩や責任者の助言を次回へ反映する
話術だけで授業を成功させようとする必要はありません。分からないことを事前に確認し、準備したうえで生徒の反応を見て、終わったら振り返る。この基本を丁寧に繰り返すことが、講師としての力につながります。
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※本記事のチェックリストは一般的な準備例です。実際の授業では、勤務先の指導方針、カリキュラム、教材、責任者の指示を優先してください。募集内容や制度は更新される場合があるため、応募時点の公式募集要項をご確認ください。







